2016年11月02日

フォーラム 心臓病を手術で治す方法(2)

昨日の記事の続きです犬(笑)


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心臓病のステージ



愛犬が心臓病だと診断された時に病院で
「この子は4段階の2ですね」とか言われる事がありますが家

そのステージってどういうものなのか、皆さん説明を受けてますか?

意外と内容の説明を受けずに「4段階の2だからまだ安心」とか
何となく思っていたりしていないでしょうか


上地先生から、簡単なステージの目安について説明がありましたので
私なりにまとめてみたいと思います演劇


ステージA
キャバリア、チワワ等、将来僧房弁閉鎖不全症を発症しやすい因子を持っていると思われる犬種で
心雑音も心肥大も無い状態

ステージB1
聴診で心雑音が認められるものの、心肥大等の症状は出ていない状態

ステージB2
心雑音に加えて心肥大が認められるが、まだ肺水腫には至っていない状態

ステージC
肺水腫や呼吸困難を起こしている状態

ステージD
投薬治療などを行っても肺水腫や呼吸困難が制御できない状態
    

つまり、心臓の大きさと肺水腫など心不全の兆候によって
ステージは分かれているということになり
それによって治療を始めるかどうかを決めているわけですね


ちょっとショッキングですが
各ステージ毎の平均生存率についてのお話もありました爆弾


統計によると

ステージB1の場合・・・40カ月以内に半数が心不全の症状が出たり
            急激に進行して亡くなったりする

ステージB2の場合・・・40カ月以内に90%が悪化する

ステージC の場合・・・6〜8カ月以内に半数が亡くなる

という事ですが、症状が出てきたところで血管を拡げるACE阻害剤や
強心剤のピモペンダンを使う事で悪化のペースを下げる事が期待されますくすり


ただ、病気自体の進行を止める事はできないのでバッド(下向き矢印)

平均してB1の期間が2〜3年、B2の期間が1〜2年
症状が出始めてから末期の状態になるまでが1年半程度なのだそうです

薬で治療をおこなったとしても、心不全の症状が出てからは
1年半〜2年の間に90%が亡くなってしまうという事でした犬(泣)


これまで、各ステージの状態については知っていましたが
具体的にその期間の平均値を聞くと
タイムリミットに向けて戻らない道を進んでいるのだと実感します犬(足)



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僧房弁閉鎖不全症の手術



僧房弁閉鎖不全症は、弁が閉じにくくなったり弁を支える筋が切れたり
伸びてしまったりする病気なので
薬でそういった状態を物理的に治すことはできません
臨床症状を改善したとしても、やがては重度の心不全になる訳です


そこで、手術によって弁の状態を修復するのが手術です病院


上地先生は10年ほど前から僧房弁閉鎖不全症の手術をなさっていて
現在までに650例以上の執刀経験があるそうです
1.3kgのチワワから50s以上の大型犬まで
年齢は5歳から14歳までいたとか

14歳の手術というのはすごいですが
飼い主さんは苦しそうに何度も肺水腫を繰り返す姿に胸を痛めていて
リスクを承知で「少しでも楽に過ごせる時間を与えたい」と手術を決断
その結果、マルチーズちゃんは無事に手術を乗り切って
何と17歳まで長生きしてくれたそうです


私はたまたま最近、人間の心臓外科医の講演を聞く機会があったのですが
心臓の手術というのは人間でも高齢で行うことが多くて
手術の問題となる他の病気が無い場合
80歳過ぎでも決して特別な事ではなくなっているそうです紅葉



実際の手術のやり方ですが注射

僧房弁に関しては弁を人工弁に取り換える置換術よりは
元々の弁を修復する手術が主流になっているそうで
上地先生も主にこの手術を行っています手(パー)


心臓の手術をする時には、人工心肺で体外循環を確立して
心臓を止めている間に手術を行う訳ですが
上地先生の病院では1回の手術に8〜11人の獣医師・看護師が携わるそうです
執刀医・助手・麻酔医・器具補助などそれぞれに役割があって
心臓を止めている時間を極力短くする様に協力しあう
まさにチームで手術を行うのだなと思いました


心臓を止める時には大動脈を鉗子で挟んで遮断するのですが
その際、冠動脈に心臓を保護する液体を注入して心臓を保護します
頸の血管から引いた血液を人工心肺に引いて酸素を与えて体内に戻し
全身に酸素の含まれた血液を循環させます


こうして準備が出来たら、弁の修復に取り掛かります
もしも腱索という弁を支える筋が切れている時には再建し
僧房弁を縫い縮めてしっかり閉まる状態に戻します


弁の状態によって結果は違ってきますが
手術を行う事によって弁が閉じやすくなり
血液の逆流が減って心臓が肥大するのを防ぐことができるそうです


手術全体の時間は6時間ほどだそうですが
大動脈を遮断して心臓が止まっているのが50分
人工心肺が作動しているのが100分程度だという事です


入院期間は1週間程度ということなのですが
気になるのは手術後に起きるアクシデントですね


次に、術後に起こる合併症についても説明がありました



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心臓手術後のリスク


心臓の手術後には血栓が出来やすくなる為、抗凝固剤を投与しますが
それでも運悪く出来た血栓が飛ぶことがあります
足の血管に飛んで詰まると足を痛がったり歩きにくそうになったり
脳に飛んでしまうと脳梗塞などになって、場合によっては致命的になります


その他の合併症としては、貧血や横隔膜の麻痺が起きる事もあるそうです




手術実績


上地先生が大学から独立して2年余りで手術した158例の中で

年齢層は9〜11歳

ステージはC

犬種はチワワ   が多いそうです


退院率は92%(術中の死亡例は有りませんが術後入院中の死亡が8%)

退院後3カ月以内に腎不全や突然死で亡くなったのが3例


結果としておよそ91%が無事に生活に復帰して

手術前の症状が軽かった子は投薬も不要になっているそうです猫(足)



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雨の感想


これまでは薬で進行を遅らせたり症状を緩和するしかできなかった病気が
手術で「治す」という選択肢が出てきたことは大きいと思います
苦しい思いを長い間させずに改善してやれるならどんなに良いだろうと思いますが

一方でリスクも決して小さくは無いと思うので
決断には飼い主の覚悟が必要だと感じます

手術を実施している医療機関もまだほんの少ししかありませんし
費用もかなり掛かる様ですので
実際に手術を選択できる人も限られてくるかもしれません

今後こういった手術の安全性がより高くなって
実施できる医療機関が増えて費用が一般の外科手術並みになって
心臓病で苦しむ子が減っていくことを願っていますぴかぴか(新しい)



パソコンこの記事は私がセミナーの記憶をもとに書いています
内容が実際と違っている部分が有るかもしれませんので
興味のある方や手術を検討されている方は
心臓の手術を行っている医療機関にしっかり確認してくださいね












 


ニックネーム 雨 at 14:03| Comment(2) | 僧帽弁閉鎖不全症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
雨さん、記事を拝読しました。我が家の13歳のチワワは、9月にこの修復手術を上地先生にして頂きました。この年齢では3例目でした。平均は9歳から10歳で受ける子が多いです。8月に突如重度の肺水腫を起こし、緊急病院で絶命の危機をどうにかこうにか乗り越え、退院後2週間で手術しました。術後の回復が遅く、本当に心配でしたが、2ヶ月経つ今は、とても元気にしています。あの肺水腫の恐怖から解放され、穏やかな日々を取り戻せて、本当にありがたかったです。やはりB2で手術できるのがベストだとは思いますが、心臓以外に心配がない子ですので、高齢ですが手術をしました。まだ血栓の懸念があるので、慎重に暮らしていますが、穏やかな時間をかけ得られていることは何にも代え難く思います。
Posted by デンママ at 2016年11月02日 22:53
>デンママさん
 経験者でいらしたんですねexclamation
実際に手術を受けられた子のお話は大変貴重ですので、お話くださってありがたいです

チワワちゃん、本当に良くがんばりましたね手(グー)デンママさんもご心配なさったと思いますが、元気になって本当に本当によかったですぴかぴか(新しい)
血栓など出来ずにずっと元気に楽しく過ごせます様にお祈りしています

手術のタイミングは、病態と年齢や持病の有る無しなど決断が難しいですよね
デンママさんのお話が手術を検討されている方にとって貴重な情報になると思いますひらめき
我が家もポコが手術を検討する事があるかもしれませんので、その説はまた色々教えて下さいm(_ _)m
Posted by 雨 at 2016年11月03日 18:06
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